事例をもとに、ストーカー規制法でどのように規制することができるか検討します。
事例
相談者は、勤務先の同僚から「好きです。」と交際を求められ、これを拒んだところ、3か月間にわたり、自宅に押し掛けられて面会を強要されたり、待ち伏せや尾行を受けるまでに至った。
相談者は大きな不安を感じて、警察に相談をした。
事例の検討
- 「交際を強要」している点で、「好意の感情を充足する目的」で行っていると思われ、「交際を拒んだ」ことを原因にいやがらせをしている点については、「好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」と思われます。
- 「自宅に押し掛ける」、「待ち伏せ」、「尾行」が(1)に、「面会を強要」、「電話で交際を強要」する行為は(3)に該当し、「職場で中傷を受ける」は(7)に該当することも考えられます。
- 事例の場合、
「自宅に押し掛け」、「待ち伏せ」、「尾行」が(1)に該当し、「面会の強要」、「電話で交際を強要」が(3)に該当しますので、それらの行為によって相談者が、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害されるような不安を覚えていれば、警告を行うことができるとともに、それらが反復して行われていれば「ストーカー行為罪」として事件対応することもできます。
また、相談者自らが被害を防止するための措置の教示等の援助を行うことも可能です。
ただし、これで全てのストーカー行為がなくなるというわけではありません。
被害の発生を未然に防止し、初期段階でストーカー行為を解消させるためには、相談者自身が自己防衛対策をとることが大切です。